最近、SDGsという言葉が巷で流行っています。持続可能な開発目標 Sustainable Developping Goalsです。これを冠したイベントも多く開催されているし、本もたくさん出版されている。国や企業も取り組みをアピールしはじめてます。乗っかっとかないと体裁が悪いんでという連中もいるでしょうけど、実際11月になってもこの暖かさ、なんだかおかしい、なんとかしないとまずいよね?というむきも増えている。気候変動におけるポイントオブノーリターンはあと数年のうちにやってくるという予言もたぶん本当なんだろうとね。
とはいえ、えすでぃーじーずと3回唱えたら涼しくなるわけでもない。そのゴールに向かって歩みださなければ何も始まらない。ラベルだけじゃなくって中身が重要。新しい酒は新しい容器にというけど、マイボトルを禁止してペットボトル飲料を議会で飲むように決めた自治体があるようでは足元もおぼづかないではないか。
さて、日曜日にほぼ丸一日のイベントに参加してきました。文化の秋なのか、しめし合せたのか、面白そうなイベントがこの24日にかなり集中していてちょっと迷ったんですが、この日は何といってもこれ。
エコ茶会「はじめよう!プラスチックフリーなくらし」&「SDGsカードゲーム」
このSDGsカードゲームを前々からやってみたかったのですよね。このカードゲームTHE SDGs Action cardgame「X(クロス)」は金沢工業大学の学生が企業と共同開発したもので、SDGsについて知り、考えることを手助けしてくれます。 ゲームのやり方をざっくりいうと、数人が一組となってチームをつくり、課題を示すトレードオフカードとランダムに選ばれたリソースカードが配られます。そして、チームごとに与えられたリソースを使って課題を解き、他のチームとそのアイデアの良さを競います。
トレードオフカードのトレードオフというのがわかりづらいでしょうか。ちょっと説明しておくと、ようするに、「こちらを立てればあちらが立たず」。良いことをしたつもりが悪い結果になる。地獄への道は善意で舗装されている。まあ、よくあることです。でも一方的に良いだけのことというのはないので、トレードオフを意識することはとても重要です。
たとえば、漁船が魚をいっぱい捕って収益があがったが、魚がいなくなった。というのはわかりやすいトレードオフ。とりすぎはよくないと誰もが思う。一方、農業では、たくさん作っても栽培だからいいじゃないかという思うかもしれないけど、実際には、無駄に作った分無駄に燃料や肥料や化学薬品が使われることになります。ついでにいうと、売れ残り恵方巻の廃棄でコンビニが毎年たたかれますが、フードロスの問題は生産者のところで始まっているわけで、我慢して食べたらいいわけじゃない。それじゃあということで、生産量を少なくしたら農家の収益がなくなって他の仕事を探さなければならなくなる。日本の農家がいなくなって食べ物を作らなくなったら、アメリカは向こうの言い値でもっと高くて質の悪い食べ物をうりつけてくるかもしれない。トレードオフがあらゆるところで働いているせいで、人生は思うようにならないわけです。ああ。
ようするに、何かを解決したいときに、トレードオフを意識しないで、短兵急にアクションを起こすと、おおよそろくでもない結果になります。もちろん黙って座っていろという意味ではないけども。
今回のゲームでは、トレードオフカードに書いてある課題の内容がそんなに深刻なものではないですが、自分たちの課題を考えてカードを作ってみるというのもいいんじゃないでしょうか。
昭和46年生まれ。神奈川県産。妻ひとり猫ひとり。高校時代は丹沢に通って荷揚げのバイトしていたおかげでカモシカのようだったが、それも昔の話。その後、生態学者を志し、大学でできるだけひとの役にたたない研究をしたいと思っていたもののかなわず今に至る。現在は、お米を生産する法人で働き、自然栽培米に関わっていたりする。IT企業でも数年働いており、そのときの経験を生かして、農業にIoTをDIYで導入する手伝いをしたいと思っている今日このごろ。また、生き物にはやさしいけど、ひとには冷たいよねという評価もあったりする。